繭縄の値段は巷の縄より凄く高いです。

■ 値段が高い理由

私たちの縄が高価になるのは、ただ作業が細かいからではなく、「緊縛で安心して使える一本」を実現するために、素材選びから仕上げまで徹底した手作業を貫いているからです。

まず原糸の段階で、職人が一本ずつ触れて、油分・繊維の向き・硬さを確かめます。細かなゴミや繊維の塊は、このとき手で取り除きます。ここを省くと後の撚りで癖が強く出たり、使用中に引っ掛かりが生まれるため、非常に時間のかかる工程ですが、最終的な使い心地を大きく左右します。

撚りの作業では、二人の職人が縄の動きに合わせて力と速度を微調整します。糸は一本ごとに性質が違い、常に同じテンションでは自然にまとまりません。手元で確かめながら、その瞬間の最適な力を合わせていくことで、しなやかで暴れにくい縄が生まれます。これは機械では再現できない、完全な人の技です。

さらに、私たちが採用しているS撚りは、一般的に緊縛用として大量生産されていない特別な撚り方向です。S撚りは糸が素直に締まりやすく、縄尻も暴れにくいため緊縛向きですが、材料の確保も難しく、通常のZ撚り以上に調整が必要になります。希少性と工程の複雑さから、どうしてもコストは上がります。

これらの積み重ねによって、安心して扱え、手に馴染み、身体に優しい一本が完成します。効率ではなく品質を優先し、一本ずつ確実に仕上げる。この時間と技術、そして緊縛専用の価値が、そのまま価格に反映されています。